受託制作ソフトウェアの税務調査のポイント

受託制作のソフトウェア業は、安定した売上が見込めるケースが多いものの、開発開始後の仕様変更や検収完了が遅れること等により予算超過するケースも多いことから、プロジェクト別の採算管理が重要となります。

一方、税務調査においては、業界特有のポイントがございますので、少しご紹介します。

 税務調査のポイント

  • 受託開発の売上・原価計上のタイミング
    期ズレのチェックが行われますので、検収完了書等の完了日に基づく計上が必須です。

 

  • 売上計上の認識単位
    原則は契約書単位となりますが、例外的に一定の要件を満たす場合は、取引単位の実態を反映させるために複数の契約書を結合して一つの単位とみなすことが可能です。税務調査では、例外的処理を採用した場合、それが妥当かというチェックが行われます。

 

  • 原価に係る共通経費
    受託開発に係る原価(労務費、外注費、消耗品費、開発に係る減価償却費 等)をプロジェクト別に集計し、売上計上時まで棚卸資産(仕掛品 等)に計上します。税務調査においては、期末において各プロジェクトに直課しない共通経費が適切に棚卸資産に計上されているかのチェックが行われます。

 

  • プロジェクト別の人件費の集計
    人件費をプロジェクト毎に直課させるためには、タイムカード等による時間集計が必須となります。税務調査では、その集計方法が合理的かのチェックが行われます。

 

  • 開発に従事する役員
    税務上、役員がソフトウェアの作成に直接携わっていれば、その役員報酬も当該作成に要した労務費として売上計上時まで棚卸資産に計上する必要があります。税務調査では、役員の業務内容についてのチェックが行われます。

 

  • 個人への外注(源泉徴収)
    デザイン等に関する個人への外注の場合は、源泉徴収が必要となります。税務調査では、源泉徴収漏れのチェックが行われます。

 

税理士 三木 孝夫

 

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