デジタル取引に対する間接税について

近年は情報技術の発展とビジネス全体のデジタル化が進み、各国の当局が企業の所得を正確に把握することが一段と難しくなっています。

GAFA等のデジタル企業が生み出す価値の源泉は、従来の製造業が中心だった時代の工場などの「モノ」と異なり、ブランドやノウハウ、顧客データといった「無形資産」です。

工場などの物理的な拠点がある製造業であれば、どこで稼いでいるかをつかみやすいですが、デジタル企業の場合、サービスを提供している各国には現地子会社等の拠点(PE)を有していないことから、各国での法人課税が行われていませんでした。それに対し、欧州はデジタル企業が怪しからん、ということで「売上高」に着目した課税をすべきとの意見があり、英国やフランスなどはIT企業に狙いを絞った売上税の導入を検討しています。

これらの動きに対して、今週に福岡市で開かれていたG20財務相・中央銀行総裁会議において9日に採択された共同声明の中で、経済のデジタル化に対応した新たな国際法人課税ルールについて2020年の最終合意をめざし議論を加速することで一致しました。

では現時点のデジタル取引に対する間接税の課税についておさらいしておきたいと思います。

 日本での課税方法

平成27年10月1日以降にインターネットを介して提供されるデジタル取引を「電気通信利用役務の提供」と位置づけ、国内取引に該当するかどうかの判断基準(内外判定基準)を「役務の提供を受ける者の住所地」に変更し、国外から提供される電気通信利用役務の提供は消費税が課税されることとなりました。

なおApp StoreやGoogle Playストア等のプラットフォームを通じてコンテンツを配信する場合の消費税の納税義務者は、AppleやGoogle等のプラットフォーマーではなく、コンテンツを販売するディベロッパーとなります。国外の小規模ディベロッパーにとっては、課税売上高が1,000万円を超えたからといっても、日本で申告・納税することは、かなりハードルが高いように思われます(下手すると納税額より申告のためのコストの方が高くつく場合もありえる!?)。数多あるディベロッパーをどこまで捕捉できるのか謎ですが。。。

 海外での課税方法

デジタル取引の内外判定を役務の提供を受ける住所地に変更してEUが間接税の課税をスタートした後、他の国でも同様の考え方を導入し、多くの国で間接税課税が行われています。ただし、App StoreやGoogle Playストア等のプラットフォームを通じてコンテンツを配信する場合の消費税の納税義務者は、日本と異なりプラットフォーマーとなる国がほとんどです。各国の課税当局の立場に立てば、プラットフォーマーを納税義務者とする方が取り漏れもなく効率的な方法と言えます。

なお、ある国の間接税についてAppleは徴収するが、Googleは徴収しない場合があります(その逆もしかり)。
ちなみにGoogleの間接税のポリシーはPlay Console ヘルプに載ってますので、興味のある方は一度クリックしてみてください。

 

税理士 三木孝夫

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