法人が交付を受けるコロナ関連の助成金等の収益計上時期

法人が新型コロナウイルス感染症等の影響に伴い、国や地方公共団体から助成金等の交付を受ける場合の収益計上時期は以下のように考えます。

基本的な考え方

法人税の所得金額の計算上、ある収入の収益計上時期は、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度となります(法人税法22条2項、4項)。

あてはめ

国税庁がリリースしている「新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係」を参考にすると以下となります。

新型コロナウイルス感染症に伴う雇用調整助成金

雇用調整助成金は、休業手当という「経費支出の補填」の性格を有しているため、給付原因である休業等の事実があった日の属する事業年度で収益計上を行います。事業年度末時点で具体的な給付額が確定していない場合でも、原則として、その金額を見積もり、当該事業年度の益金の額に算入することになります。

ただし、新型コロナ禍の特例措置として、雇用調整助成金の支給要件の緩和、助成率等の引上げ、手続の簡素化などの特例措置が設けられており、その場合は事前の「計画届」の提出が不要とされています。通常の措置とは異なり、休業の実施や休業手当を支給した後に、その実績に基づき支給申請を行えばよく、事前の手続をとり、同助成金の補填を前提に休業手当が支給されているものではない建付けになっております。従って休業手当の支給が同助成金による補填を前提としていないことから、休業を実施した事業年度において金額を見積もる必要はなく、支給の決定を受けた日の属する事業年度に支給額を益金算入すればよいと考えられています(参照:新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係 問7-法人が交付を受ける助成金等の収益計上時期の取扱い)

個人的には、新型コロナウイルス感染症に伴う雇用調整助成金とその対象となる給与の計上時期がズレるため違和感がありますが、条文等に当てはめると上記のような整理となります。

 

税理士 三木孝夫

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