日本における移転価格の文書化義務

日本の移転価格税制に係る文書化義務について、たびたび問い合わせがあるので、まとめておこうと思います。

移転価格税制に係る3つの文書

1. 国別報告事項(CbCレポート
2. 事業概況報告事項(マスターファイル
3. 独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル

 

1. CbCレポート

提出義務: 事業年度の連結総収入の金額が、1,000億円以上
提出期限: 事業年度終了の日の翌日から1年以内
使用言語: 英語

 

2. マスターファイル

提出義務: 事業年度の連結総収入の金額が、1,000億円以上
提出期限: 事業年度終了の日の翌日から1年以内
使用言語: 日本語又は英語

 

3. ローカルファイル

作成義務:
① 当該一の国外関連者との間の事業年度の取引金額が、50 億円以上
もしくは、
② 当該一の国外関連者との間の事業年度の無形資産取引金額が、3億円以上

作成期限: 確定申告書の提出期限
提出期限: 調査において提示又は提出を求めた日から一定の期日(45日以内)
使用言語: 指定なし(日本語以外の場合は、日本語訳を求められる場合あり)

ローカルファイルは、上記の作成義務(正確には同時文書化義務)がない場合でも、ローカルファイルに相当する書類の提出を要求される場合がある点には留意が必要です。

ローカルファイルに相当する書類??? と思うかもしれませんが、
「ローカルファイルみたいに纏める必要はないけど、ローカルファイルで記載するような情報については、提出を要求される場合がある」
という理解で良いと思います。

とはいえ、移転価格税制への対応を検討したことがない企業にとっては、「ローカルファイルに相当する書類」が全て揃っていることは通常ありませんので、”提出を要求されるかも・・・” と心配な企業は、ローカルファイルを作成しておく方が良いかもしれません。

うちには必要?それとも不要?と思ったら、お気軽にお問い合わせください。

公認会計士・税理士 長野 弘和

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